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金峰山の奇跡; ;第二部:奇跡編(4)

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金峰山の奇跡; ;第二部:奇跡編(4)   



月の光をところどころ受けている大部屋の雰囲気、様子は仄暗く(ほのぐらい)、ぼんやりとしか見えない。 

横になっていても、そこかしこから雑な声、ヒソヒソ話が暫らく続く。 だが、それも時間とともに次第に沈黙の世界に入り込んでゆく。 
時々、懐中電器の明かりがポッ、ポッと灯るが、本当の暗闇が辺りを支配するようになる。   
次には、周りから「いびき」の声も響くようになり、彼方より寝言のような“音“も聞こえ出す。 


夜も一層更けつつあるようだ。

小生と彼女は足と頭が逆さ状態で、所謂、上下逆さ寝である。 
そして、小生は左手が下になる所謂、左向きであり、彼女は背中越しに向こう向きのようである。 背中越しといっても実際は腰や臀部、お尻が接触しているのだが。
その背中越しの彼女は既に寝てしまったのであろうか・・?、 身動き一つしていないようだ。 
それとも緊張のせいで身体を硬くして横になっているのだろうか・・?、

今になって気が付いたが、小生には寝るとき一つの癖がある。 
小生の寝癖は幼少年の自分より右側の横向きにならないと睡眠に入れないのである。 
暫らくして、窮屈ながら身体の向きを少しずつづらして、寝返りをしなが仰向きから右横向きへと変えた。 
何とか果たせて、気が付くと毛布で囲ってはいるが、顔の正面には彼女の脚部がスラーと伸びている。
彼女は小生の動きに気が付いたらしく、身体の向きを少し変えて斜めの状態にした。 この状態だと小生の前の部分が、毛布越しに彼女の脇腰辺りに当たるようになる。 
それにしても彼女は眠ってはいなかったのである。 
正直な気持ち、何となくホッとする。

一時すると突然、彼女がモソモソと動き出して、毛布が小生の脚部、下半身に掛かってきたのである。 
もしかしたら彼女の夢の中の動作で、偶然に掛かってしまったのかなどと想像もした。 それにしては彼女の手に動きがあって、毛布を手繰(たぐ)っていたのに気がついていたのである。 
小生は一瞬何事が起きたのかなと気持ちが高ぶりドキドキとしたが、考えてみれば当たり前の行為だったのかもしれない。 

はじめ、概ね二人に1枚の割合で提供されたはずの毛布で、同僚の二人の女性に一枚、それにN嬢と小生に一枚与えられたはずであった。 だが、いくら混雑しているとはいえ見ず知らずの女性(女性側からは男性)と遭い合いの状態になるのは、お互い良心と羞恥心が許さないであろう。 小生は男気をだして、彼女にのみその毛布を与えたのであった。

そして彼女はそのことに気がついてか・・?、一人身だけの良さに遠慮、気兼ねしてか、後になって、こっそりと小生の下半身に掛けてくれたのだろう。 
それに、夜も更けゆく時間帯、いくら人息れ(ひといきれ・人が多く集まっていて、体の熱気やにおいが立ちこめること)があるにしても、冷え込んでくるのを覚える頃合なのである。 普通、人は下半身から冷えるともいう。

面と向かった普通の状態では成しにくいが、この暗闇の異常な状態であり、やはり気兼ねしながらも彼女の気配り、温か味が伝わってくるのである。
だが、これに対してお礼の言葉や返事が言い出しにくい状態なのである。


さて、間をおいて思案してから、こっそり「お礼の合図」を送ることにした。 
これはある意味の男としてのケジメであると自問自答しながら、小生の顔面前に横たわる彼女の長い脚部を、毛布の上から平手でトントンと軽く叩き、その後で柔らかく撫でるようにさすってやった。 
これは一か八かの彼女の反応を確かめるためのコンタクトでもあった。
果たして彼女の反応は・・?、

つづく・・、




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